アンティゴノス朝が滅ぼされる

大王の急逝と帝国の行方
バビロンに戻ったアレクサンドロスはアラビア遠征を計画していたが、ある夜の祝宴中に倒れ、10日間高熱に浮かされ「最強の者が帝国を継承せよ」と遺言し死去してしまった。このためもあってか、彼の遺将たちは大王の遺言に忠実に「最強の者が帝国を継承」しようとして覇を争うことになる。
残された大帝国はバビロン会議、トリパラディソスの軍会という遺将たちによる2度の協定によって安定化が目指されたものの、アンティゴノス、セレウコスプトレマイオス他の諸将によるディアドコイ戦争を経て分裂した。紀元前3世紀にアンティゴノス朝マケドニアセレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプトのヘレニズム三王国が出現し、それらは互いに相争っていたもののひとまずはこの三国鼎立の形に落ち着いた。
その後、紀元前168年にアンティゴノス朝が滅ぼされたのを皮切りに西方は順次ローマに併合され、ヘレニズム諸三国はいずれもローマに滅ぼされた。東方はパルティアが勃興してセレウコス朝の領土の大部分を奪い、東方領はマケドニア人の手を離れた。以後東地中海から中央アジアに至る地域はイスラーム帝国の出現までふたたび大統一を見なかった。アレクサンドロスの遺体はペルディッカスがバビロンから王都ペラへ移送途中にプトレマイオスに強奪され、ミイラとしてエジプトに埋葬されたとされる。墓は未だに発見されていない。
アレクサンドロスの一族はディアドコイ戦争中に殺害され、アレクサンドロスの血統は断絶した。
王の母オリュンピアス(自ら兵を率いたもののカッサンドロスに敗れ殺される)
王妃ロクサネと王子アレクサンドロス4世(共にカッサンドロスにより処刑)
庶子ヘラクレス(カッサンドロスに買収されたポリュペルコンに暗殺される)
異母兄フィリッポス3世(王妃エウリュディケがマケドニアの実権を握ろうとして、オリュンピアスに兵を挙げられ、共に殺される)
クレオパトラプトレマイオスの求婚を受け、敵対していたアンティゴノスにより暗殺)
異母姉キュナネ(ペルディッカスの弟アルケタスにより暗殺。娘のエウリュディケはフィリッポス3世の王妃)
異母妹テッサロニカ(カッサンドロスの妻となるものの、彼の死後に息子たちの後継者争いに巻き込まれ暗殺)