ヘロドトス 歴史 巻二 エウテルペの巻

ヘロドトス 歴史 巻二 エウテルペの巻

 一四一 その次に王位に就いたのは、へパイストスの祭司でその名をセトスという者であったという。この王はエジプトの武士階級を無用のものと軽視して冷遇し、彼らの名誉を傷つけるような振舞いが少なくなかったが、中でもこれまで歴代の王の治世下では武士階級の特権として与えられていた十二アルラの土地を没収してしまったという。後になってサナカリボス王がアラビアおよびアッシリアの大軍を率いてエジプトに来攻したが、エジプトの武士たちは王に救援することを肯じなかった。